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Drs’ voice, タイ, 不眠症, 医療ツーリズム

みなさん、こんにちは。

新年度も1ヶ月以上が過ぎ、環境ががらりと変わった方も多いのではないでしょうか。

環境の変化にのまれ、ストレスから眠れずにもやもやした日々を過ごしてないでしょうか?

五月病まっしぐら、最終コーナーを加速してそのまま直線をむかえていないでしょうか?

眠れない日々が続くと体が不調にむかっていき、あたりまえですが病気になりやすくなります。

睡眠は三大欲求の1つとも言われていますので、生活と直結しています。

全世界の6~15%もの人が慢性不眠症といわれており、現代の薬物療法では治療に難渋してしまうことが多く、満足のいく効果を得られていないのが実際です。

不眠症に対してなにが有効なのか様々な研究が行われており、なんと医療大麻が睡眠障害に対して効果があることがわかりました。

「大麻を摂取するとよく眠れるんだ」と古より伝わってはいましたが、医学的にも証明されてきています。

実際に発表された論文を紹介していきましょう。

 

 

Treating insomnia symptoms with medicinal cannabis: a randomized, crossover trial of the efficacy of a cannabinoid medicine compared with placebo

 

2021年に医学雑誌「SLEEP」に発表された、オーストリラリアで行われた研究で、医療大麻が不眠症に対して効果があるのか、安全性は問題ないのかを調査した論文になります。

Jennifer Walsh先生が医学雑誌「Sleep」発表した論文で、英語にはなりますがYoutubeのチャンネル「TEDx Talks」でも研究結果をわかりやすく発表されています。

「24人の不眠症を訴える患者さんに医療大麻を2週間投与したら、重篤な副作用もなく、明らかに症状が改善しました。」

という非常に興味深い研究結果を認めましたので掘り下げていきましょう。

 

 

(患者背景)

選ばれし24名の患者さんはどのように集められたのでしょうか?

・週3日以上夜に眠れない状態が3ヶ月以上続いている

・眠るのに30分以上かかってしまう、あるいは起きる予定の30分以上前には起きてしまう、30分以上目が覚めてしまっている

・Insomnia Severity Index score(不眠症重症度指数) >10 であること

上記を訴える患者さんの中で、向精神病薬や中枢神経抑制薬を内服している、未治療の重篤な新血管障害や代謝障害、精神疾患があるなど除外条件をクリアした24名が対象となっています。

 

(研究デザイン)

24名の患者さんを12名ずつ2つのグループに分けて、2週間、Aグループには医療大麻を、Bグループにはプラセボとして似せた薬を投与して、1週間休薬したあとに、2週間、Aにはプラセボ、Bには医療大麻を投与して、その効果を評価していきます。

評価する項目は

・睡眠日誌の記載による自覚症状の変化はどうか

・医療大麻の安全性はどうか

・不眠症重症度指数の変化はどうか

・アクチグラフGT9Xで計測した値はどうか

・終夜睡眠ポリソムノグラフィーでの評価はどうか など

 

 

不眠症重症度指数 (ISI)

~7は不眠症なし、8~14は不眠前段階、15~21は中等度不眠、22~は重度不眠

 

アクチグラフィGT9X

小さな時計型の加速度センサーは被験者の活動数を時間分解能ごとに数日から数週間連続記録でき、 活動数をもとに、睡眠/覚醒アルゴズムを利用して 睡眠/覚醒判定を行い 睡眠日誌のように睡眠/覚醒時刻を客観的に記録して 利用するのが一般的。

 

 

睡眠日誌(国立精神・神経医療センターHPより)

睡眠日誌は、普段の睡眠の長さや規則性といった睡眠状態を把握するのに有用。
自分の認識と実際の睡眠状態にはしばしば乖離がみられるが、睡眠日誌を用いてチェックすることで、自分の睡眠状態を正確に把握したり、自覚していなかった睡眠の特徴を発見できる。

 

患者さんのデータを主観的にも客観的にも評価することができるすっきりしたデザインですね。

用いる医療大麻はTHC:20mg/ml、CBD:1mg/ml、CBN:2mg/mlをヒマワリ油に溶かして製造したオイルで、睡眠時間の1時間前に、オイルを1滴0.5ml舌下投与して睡眠に対する影響を上記評価項目で評価していきます。効果が不十分なときは、追加でもう1滴投与し、1日のTHC摂取量は20mg程度となります。

 

 

(結果)

・医療大麻の安全性

医療大麻の投与でみられた有害事象は以下の表でまとめられています。

ZTL-101が医療大麻になります。

医療大麻治療に関連した症状、副作用を17名が訴えたが、どれも重篤なものはなく、時間経過で症状は改善するレベルのものであり、主な症状は、頭痛、口腔内乾燥、めまいなど医療大麻の副作用としては予想されるものでした。

1名が重篤ではないものの、副作用により継続困難となり離脱となりました。

 

 

・不眠症重症指数の変化

下の表は医療大麻治療後および、プラセボ投与後の不眠症重症指数の変化になります。

医療大麻治療後の不眠重症度指数は、プラセボと比較しても明らかに有意差をもって低く、改善を認めていました。

平均で約5ポイントほど改善を認めており、不眠前段階まで平均が下がっています。

 

 

・アクチグラフィとPSGの変化

自己申告による睡眠時間および、アクチグラフィとPSGの変化は以下の通りです。

医療大麻投与後はプラセボを比較して、入眠までの時間(SOL)、睡眠時間(TST)、睡眠の質に改善がみられており、アクチグラフィでは睡眠時間の延長、夜間の覚醒時間の減少がみられており、客観的にも改善がみられています。

 

 

(考察)

治療を受けた患者さんの数は24名と少ないですが、はっきりと有意差をもって主観的にも客観的にも大麻治療が慢性不眠症に効果があると実証されました。

24名と患者さんの数が少ないこと、プラセボとして使用した擬似薬が被験者に擬似薬と気づかれていたことなど課題はありますが、とにかく眠れるようになったというのは間違いありません。

現代でつかわれている薬物療法は、なかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚めちゃう、朝早くに目が覚めてしまってもう眠れない、ぐっすり寝た気がしない、といった特定の悩みに対して効果のある薬を選択して投与していくので、複数の睡眠薬を内服している患者さんもいます。

入眠までの時間の改善、睡眠時間の延長、夜間の覚醒時間の延長がみられることから、様々なタイプの不眠症に効果がある可能性があり、あらゆる睡眠薬の代替療法になる可能性もあります。

大麻治療後のTHC、CBD、CBNの血中濃度の推移をみると、約4~6時間ほどで血中濃度がピークになっていることから、寝つきが悪いタイプの患者さんには、就寝前の2~4時間前に摂取を、途中で起きてしまうようなタイプの患者さんには、就寝前の1時間前に摂取するのがいいのかもしれません。

 

 

(まとめ)

生活の質を根っこから支える「睡眠」に対しても、大麻治療は効果があることがわかってきています。

睡眠そのものだけでなく、不安や痛みといった症状を改善することでより睡眠の質をあがり、生活の質をあげる可能性があります。

暗闇の中に一筋の橙色の光が灯った、まさにそんな状況なのかもしれません。

不眠症で悩む患者さんにとって1つの選択肢になればと切に願っています。

AMHIでは大麻治療専門のタイ人医師と大麻治療を研究している日本人医師がおり、タイの治療中は24時間サポートをしております。

お気軽にご相談ください。

  

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