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Drs’ voice, アルツハイマー, 認知症

~はじめに~

みなさんこんにちは。

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年が目の前にせまっており、超高齢化社会へまっしぐらの日本。

高齢者が増えるにつれ、認知症の患者さんも右肩上がりでこれから増えていくことが確実視されており、2025年には約400万人に到達すると言われています。

一体どうなっていくのでしょうか。

アルツハイマー型認知症に対して、その原因といわれるβアミロイド蛋白が脳に沈着するのを抑制することで、認知症の進行を遅らせる治療薬「レカネマブ」が日本でも2023年より保険適応となりました。しかし、その効果は治すものではなく治療の進行を約30%程度遅らせるものであり、年間300万円といわれる治療費、増え続けていく患者さんの数・・・。

なかなかお先真っ暗な感じがしています。

認知症治療における難しさは、患者さん本人に病識がないのもそうですが、介護やサポートを行う家族や施設の職員にとって心身ともに負担がかかってしまうことにあります。

「体は元気なのに・・・」そんなもどかしい気持ちになるのも当然です。

「認知症になるのは年齢もあるし、しょうがない」と諦めていませんか。

近年の研究により、医療大麻が200以上の病気に効果があるのはわかっていますが、なんと認知症を治す可能性があることがわかりました。

 

 

 

Take Home Massage

・医療大麻が認知症の中核症状と周辺症状の両方を改善させる

・医療大麻が認知症の進行をおさえるだけでなく、治す可能性がある

・医療大麻は周りの介護者のストレスをも軽減する

 

 

 

今回は、認知症が医療大麻で治る可能性があるという画期的な論文を紹介します。

 2023年に発表された、イタリアのモデナ・レッジョエミリア大学で行われた研究です。

Oral THC: CBD cannabis extract in main symptoms of Alzheimer disease: agitation and weight loss

 

この論文をまとめると、

「30人の認知症の患者さんに、医療大麻オイルを12週間投与したら、 有害な副作用がなく、NPI-Q、CMAI、MMSEのスコアが劇的に改善しました」という、衝撃の報告になっています。

実際にどういう内容なのかを掘り下げていきましょう。

 

 

【患者の選定】

アルツハイマー病と診断された患者さん30人が対象となりました。

今まで受けていた治療などに対して満足いかず他の治療法はないかと、家族に連れられてセカンドオピニオン外来を受診し、医療大麻による治験を提案されて同意した患者さんになります。

24週以上続くアルツハイマー病の症状を認めた患者さんで、重篤な心不全、心拍のコントロールが不良、起立性低血圧、抗うつ薬および抗不安薬治療、精神病性障害の既往がある方は治療の対象外となっています。

 

上記は、大麻治療を受けた患者さん30人のデータになります。

男性が9人、女性が21人の合計30人で、年齢の平均は69歳。

MMSEのスコアが<10の患者さんは24名で、アルツハイマー病の重症度の内訳は軽度が2名、中等度が10名、重症が18名でした。重症アルツハイマーの患者さんがほとんどなのが特徴です。

 

軽症でも、周りの協力や介護を必要とする状態ですし、重度になってしまうと、本人や家族、介護者も含め、答えのでないことを考えてしまい非常に言葉を選んでしまいます。

主な患者さんの症状として興奮行動、認知障害、食欲不振にともなう体重減少、睡眠障害などでした。

 

 

【治療内容】

患者さん30人に医療大麻を12週間投与し、治療前と治療後で評価を行っています。

実際に用いられた医療大麻製剤は、オランダの会社「bedrocan」社のBedrocan®が使用されました。

 

THCが22%(220mg/1g)、CBDが0.4%<1.0%(4mg/1g)のTHC優位の品種で、抽出したもの1gをオリーブオイル10gで希釈したオイル製剤を使用しました。

Bedrocan®は多くの医療大麻関連の研究で実際に使用されており、安全性とその効果が実証されています。

 

実際の投与として、低容量の15滴から開始して30滴まで増量し、3ヶ月目には15滴まで減量するスケジュールで投与されました。

1日で最低約10mg、最大で約20mgのTHCを摂取することになります。

他の疾患で推奨とされるTHCの摂取量とほぼ同じ、もしくはやや低容量になります。

摂取方法にオイルを選択した理由は、舌下投与で比較的安全に投与できること、食事に混ぜたりできることからになっています。

 

 

【評価方法】

3つの評価項目で治療前、治療後を評価しています。

 

1. MMSE

世界で最も使用されている認知症のスクリーニングスコア。

30点満点で、正常は28~30点、~27点で軽度認知障害が疑われ、~21点で認知症がほぼ疑われる、簡便な世界共通の指標です。

 

2. NPI-Q

認知症患者さんの周辺症状の頻度、重症度、介護者の負担度を数値化した指標。

妄想、幻覚、興奮、うつ、不安、多幸、無関心、脱抑制、易怒性、異常行動、夜間行動、食行動の12項目を評価。患者さん本人と、介護者による評価をそれぞれ5点満点で行い、120点満点で評価を行います。

 

3 CMAI

 

 

CMAIは施設に居住の高齢者にみられる焦燥性興奮の発現頻度を調べるために作成されたものであり、現在多くの研究で認知症を対象に用いられています。

CMAI の特徴は攻撃的行動と非攻撃的行動の2つのカテゴリーを設け,それぞれのカテゴリーに含まれる言動の変化を独立して評価することが可能な点です。

 

 

【結果】

軽度、中等度、重度の副作用は認めず、患者さん30人全員が3ヶ月間、治療を受け続けることができました。

1 MMSE

治療前と治療後を比較して、統計学的に有意にスコアが改善した項目は

・Orientation to time

・Orientation to place

・Registration

の3項目であり、治療後に、日付がわかるようなった、今どこにいるのかわかるようになった、記銘力が向上した(短期記憶)となりました。

また、45%もの患者さんがMMSEのスコアで15~17点まで改善したことがわかりました。認知機能が改善したことになります。

救急外来で患者さんが運ばれてきた時に、まず確認するのはバイタルサインであり、意識の評価で「名前、場所、日付」を本人に聞きます。

その1番根底の評価、見当識障害が改善するのは冷静に考えてもトンデモないことですよ。

 

2 NPI-Q

 

NPI-Qでは、認知症患者さんでみられる代表的な行動の多くが治療前と比べて、統計学的に有意に改善しました。

興奮行動、抑うつ、食欲不振、無気力状態、イライラや奇行が改善し、さらには夜間の食事介助を妨げるような行動も改善したとのこと。その結果、介護者のストレスやイライラが激減しています。

食欲不振の改善は、THCによって食欲ホルモンのグレリンが分泌が促進した結果だとも考えられますが、介護者のストレスも大幅に改善していることが素晴らしいですよね。

 

3 CMAI

 

治療前と比較して、攻撃的な行動や発言が統計学的に有意に改善しています。

患者さん本人も穏やかになり、それによって介護者のストレスも改善されて、誰もがHappyな結果となっています。

 

 

~まとめ~

現状での認知症に対する薬物治療は、進行を遅らせる効果しかなく、認知機能の改善を認める治療はありません。

大麻治療は認知症患者さん本人だけでなく、患者さんを介護する施設の職員やその家族の負担をも軽減してくれる、これからむかえる超高齢化社会にとっての希望の光になる可能性があります。

特に高齢者は認知症だけでなく多くの病気を抱えており、200以上の病気に効果があるといわれている医療大麻との相性は抜群です。

患者さん本人だけでなく、周りの人も笑顔になれる、笑顔がまたさらなる健康につながる、医療大麻が身近な存在になれればいいなと思っています。

認知症患者さんの認知機能の改善とまではいきませんが、大麻成分であるカンナビノイドの1つCBDが、重篤な副作用なく認知症患者さんの周辺症状を改善した論文が多数報告されています。

精神作用のないCBDは日本でも使用することができますので、ぜひ高齢者施設で認知症患者さんの徘徊や不穏などの周辺症状にお悩みの施設がありましたら、CBDを取り入れてみるのはいかがでしょうか。

日本では法律上の問題から大麻治療を行うことができません。難治性てんかんに対して、大麻関連医薬品であるCBD製剤「エピディオレックス」による治験が始まったばかりで、これから様々な症状や病気に対して大麻関連医薬品の治験が始まっていくのではないかと予想されますが、何年先になるかは誰もわかりません。

タイでは2018年より医療目的での大麻治療ができるようになりました。

AMHIには大麻治療専門医のタイ人医師と大麻治療の研究を行なっています日本人医師がおり、24時間サポート体制で安心して大麻治療を受けることができます。

お気軽にご相談ください。

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