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難治性てんかん

てんかんは完治するのか

てんかんは7〜8割の確率で抗てんかん薬や外科手術により症状を抑えることができると言われていますが、てんかんには様々なタイプが存在しているので症状を抑えることが難しいてんかんもあります。

  • 良性小児てんかん
  • 小児欠神てんかん

上記2種類のてんかんでは成人になるまでに症状もなくなり再発もほとんどしないため完治するタイプのてんかんと言えます。しかし、若年ミオクロニーてんかんでは薬物治療によって症状を抑えることができますが、薬をやめてしまうと90%以上の確率で再発をします。
成人になってからてんかんが完治するということはなく、症状を抑えて日常生活を問題なく送れる状態である寛解を目指して治療行います。
治療終結の目安としては発作が消失して、脳波も正常化されてから3年以上経過することです医師によって抗てんかん薬の減量・中止が検討されます。

てんかん全体の治療終結後の発作再発率は小児では30%前後と言われています。再発は治療終結の1年以内に起ることが多く、2年以上経過していれば再発の危険性は下がります。
成人では発作再発率は50%と小児より高い傾向にあります。抗てんかん薬の減薬は1年以上かけてゆっくり行うことで再発率が低くなります。

てんかんは手術で良くなることはあるのか

てんかんは薬物療法から始めますが、いくつもの種類を服用しても発作のコントロールができない場合には外科的手術をすることも選択肢にあがってきます。

てんかんに対する外科的手術には大きく分けて2つ存在しています。

  • 発作を起こす部分を切除や遮断することで根本的に発作を起こさないようにする手術
  • 発作の頻度を減らしたり症状を軽くさせる手術

発作を起こす領域が限定的である場合には原因部位を切除することも考えられますが、広い範囲で異常がある場合や原因部位がはっきりしないために切除ができない場合にはてんかんの症状を抑える緩和手術が行われます。

てんかんの手術による発作消失率は、てんかんの種類や原因となる部位によって変わってきます。
側頭葉てんかんでは手術で発作がなくなる確率が80〜90%と他のてんかんと比べて最も高いものとなっています。その他の原因部位が広範囲にあるものやはっきりしない場合のてんかんの手術では発作消失率が50〜80%と言われています。

切除ができない場合には症状を緩和させる手術も存在しています。発作の症状を緩和する手術の一つの迷走神経刺激術では半数の患者が発作の頻度が半分に減ると言われています。
てんかんの手術を行なってから症状が落ち着いても抗てんかん薬をすぐに中止されないので注意が必要です。数年単位で減薬、中止を検討されることがほとんどです。

てんかんが再発してしまうケースと原因

てんかんは発症する年齢が高いほど再発率も高くなります。

症状が治って薬物治療をやめることになっても30歳以上では再発率が50%を超えたという報告もあります。また、発作の回数がかなり多い場合、精神症状が併発している場合や発作抑制に2種類以上の抗てんかん薬が必要となった場合などは重症度が高いため再発率が上がります。

抗てんかん薬を中止する時期にも注意が必要となります。

抗てんかん薬を使用することで発作が消失した期間が2年以上経過した患者を対象とした研究では、消失期間2年半未満の患者に比べて4年以上の発作消失期間のある患者の方が再発率が67%に止まったという報告があります。発作消失期間が長ければ長いほど抗てんかん薬の中止後の再発率も低くなっていきます。

抗てんかん薬を中止してから1年以内に再発することが多く、2年以上経過した場合には再発する危険性が低くなります。

これらのことから抗てんかん薬を飲んで症状が落ち着いてきたからと自己判断で薬を飲まないでいると再発してしまう可能性が非常に高いと言えます。

再発した場合でも抗てんかん薬を再開すれば症状を抑えることができるので、根気よく治療を継続することが重要です。

てんかんに対して今からできる対策とは

ほとんどの場合においてはてんかんによって日常生活に制限を受けることはありませんが、突然意識障害を起こしたり、体の自由がきかなくなるような発作がある場合には高所の落下や重大な事故などを起こす可能性があるので注意が必要です。自動車の免許取得には発作が抑えられているかで条件が変わってくるので主治医に相談する必要があります。

就労する場合においても発作によって重大な事故が起きる可能性があるのでしたら職場に報告する必要があります。

日常生活では突然倒れた時に怪我をしないように環境づくりをした方がいいでしょう。

二段ベットの使用を避けたり、角が尖っているものやストーブ類は置かないようにした方がいいです。適正な睡眠時間をとることで脳をしっかり休めることができるので脳の働きも安定します。

運動によって、てんかんの発作が抑制されると言われていますので適度な運動をすることも大事になります。薬を飲み忘れずに規則正しい生活を意識するようにしましょう。

 

参考文献

てんかんセンターQ&A-広島大学病院

成人てんかんの薬物治療終結のガイドライン-国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター

てんかん治療の終結

てんかんとは何か-てんかんは複数形で考える

てんかん発作とともに生きるために-てんかんネット

今日の治療薬2018-神経系に作用する薬剤-抗てんかん薬.p-906〜9

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