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~はじめに~

みなさん、毎日ちゃんと眠れているでしょうか?

食事と睡眠をしっかりとることは健康に生活するためには欠かせません。

ストレスでぱんぱんに満たされた現代社会においては、より睡眠の価値が高まっており、多くの人々が睡眠に悩み、質の良い睡眠を求めています。

明日もぐっすり眠ることができるかなんて誰もわかりません。

もし睡眠が不足してしまうと、単純に眠れない日々を過ごすだけでなく、日中のパフォーマンスが低下し、長引いてしまうとどんどん健康から遠ざかっていく、不調や病気に近づいていくことになります。

睡眠障害に悩まされている人々は年々増加しており、世界の約30%の成人、約25億人がなんらかの睡眠障害に悩まされたことがあると言われています。

医者の診察を受けたのはいいものの、効果がない、または効果があっても一時的だったり、薬の副作用に悩まされるなど治療に難渋し、一筋縄ではいきません。

現在、日本人の20人に1人が3ヶ月以上睡眠薬を内服しています。

日本では、抗不安薬などを含む睡眠導入剤が心療内科に限らず広く一般診療科でも処方されており、患者さんが希望すれば医師も気軽に処方してしまうこと、一度薬物療法がスタートしてしまうとその効果と副作用からなかなかやめることができず、種類と量が増えていく傾向にあり、大きな社会問題となっています。

生活の質とあまりに密につながりすぎて、永遠のテーマのような悩み、なんとかならないものでしょうか。

近年、睡眠障害の治療法の1つとして「医療大麻」が注目されています。

このコラムでは医療大麻が睡眠障害で悩んでいる患者さんの希望の光、1つの選択肢になりうることを、紹介していきます。

よろしクッシュ‼︎

 

 

~睡眠障害とは~

睡眠障害は、「夜によく眠れない」という単純な問題ではありません。

何らかの形で夜に眠り続けることができず、日中にも眠気や倦怠感など心身の不調をきたし、終いには生活に影響をおよぼす状態のことです。

睡眠が不足した日々を送り続けてしまうと、心血管疾患、糖尿病、うつ病、認知症などの病気になるリスクが大幅に上がります。

睡眠障害が1ヶ月以上続くと不眠症に陥ってしまい、その70%が1年後も不眠に悩まされます。

日々の生活とまさに直結しており、非常に根の深い問題です。

不眠症には下記の4つのパターンがあり、

 

入眠障害:なかなか寝付けない

中途覚醒:夜中に何度も目が覚めちゃう

早朝覚醒:朝早くに目が覚めてしまって、もう眠れない

熟眠障害:ぐっすり寝た気がしない

 

不眠症の原因は様々で、次のようなものがあります。

 

心理的ストレス:喪失体験、対人関係の悩み、仕事の負担、入院環境など

精神疾患:うつ病、不安障害など

加齢:睡眠時間の短縮、睡眠構築の悪化など

身体疾患:身体疾患やその治療薬によって痛み・かゆみ・呼吸の苦しさ・頻尿などがみられ、眠りが妨げられる(心不全、肺疾患、がん、アトピー性皮膚炎、神経障害、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など)

嗜好品:カフェイン、アルコール、ニコチンなど

薬剤:神経に作用する薬、ホルモン薬、ステロイド薬など

生活上の問題:長時間の昼寝、夜更かし、夜勤による生活リズムの逆転、海外渡航による時差ボケなど

 

 

大人になれば、みなさんいずれかの原因で眠れない日を過ごしたことがあるのではないでしょうか。

原因がはっきりとわかっていれば治療方法は明確なのですが、生活習慣などの様々な要因が密に絡み合っており、その治療は一筋縄ではいきません。

治療法の第一選択は睡眠衛生指導になります。

患者さんを「指導」しなくてはいけないので熱量と時間が必要です。なにより信頼関係が必要になります。自分も規則正しい生活がなかなかできていないので、自己啓発系のYoutuberに説教してもらいたくなるくらい胸が苦しくなります。

日本で主流の治療といえば、そう、睡眠薬を用いた薬物療法です。

睡眠薬の種類として代表的なものを挙げると

 

1.非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

2.メラトニン受容体作動薬

3.ベンゾジアゼピン系睡眠薬

4.催眠・鎮静系抗うつ薬

 

が挙げられます。

消化器外科の時は、希望があれば外来の患者さんや入院中の患者さんに、薬剤師さんに相談をして処方していました。がんの終末期の患者さんも多く、少しでも眠ってもらえればいいという思いでした。薬が増えるのはもどかしいですよ。患者様満足度重視です。

薬物療法の実際ですが、50%の患者さんが一旦良くなってもその50%がまた再発してしまいます。非常に厳しい現実です。

その症状は慢性化、難治性となっていき、必然的に治療薬は長期使用かつ高容量となり、種類も増えていくということになります。

依存性のほとんどない睡眠薬もありますが、治療に難渋しているのが現状です。

気軽な睡眠薬の処方でいつのまにか複数の薬を飲んでいる状況に、終いには精神疾患を発症した・・・まさにゲートウェイドラッグといっても過言ではありません。

薬物療法をメインとした治療の難しさは、症状自体は改善したが、その副作用が日常生活に支障をきたして逆に生活の質をさげてしまう、そこまでして眠ることに意味があるのか状態に陥ってしまうことにあります。

睡眠薬の代表的な副作用として

依存性、耐性の形成、次の日の眠気やぼんやり感、記憶の問題、呼吸抑制、不安や興奮、幻覚、依存症の離脱症状、運動能力の低下などが挙げられます。

特に高齢者への睡眠薬の処方には、転倒のリスク、認知症の進行、筋力の低下など本人の生活の質だけでなく、サポートをする家族の生活の質をも下げる可能性があるため慎重に行わなければいけません。

日中にふらついて転倒、頭も打って大腿骨も折れちゃいましたは、あまりにもミゼラブルですね。

若者の間でもその依存性の高さと乱用が社会問題にもなっています。

日本では比較的気軽に処方されている「フルニトラゼパム(商品名:ロヒプノール、サイレース)」はアメリカやカナダでは持ち込み禁止薬物ですし、「エチゾラム(商品名:デパス)」、「ゾビクロン(アモバン)」も向精神薬として一定量以上で規制を受けます。

それだけ睡眠薬というのは、世界基準でも人の体にとって負担のかかる薬物です。

「眠ることができる」でもそれ以外は人間にとっては後ろ向きの効果。

後ろ向きの人間が、前向きに「薬をやめるぞ」とはなかなかなれないです。

まさにハードドラッグですね。

睡眠薬は、患者さんにとっても、その家族にとっても、また医療従事者にとっても頭を悩ませる、人生を変化させるほどの力をもつ薬で、付き合い方が非常に難しい薬物になります。

薬がきっかけで人生を終わらせるのはあまりにも悲しすぎます。

医師である自分が言うのもなんですが、自分は睡眠薬と上手に付き合える自信が全くありません。眠れなかったらしょうがないから起きておこう、いつか眠れるようになるさ、昼間はがんばって起きておこうと思っています。

 

そんな睡眠薬のほかになにか治療はないかということで、医療大麻が注目を浴びています。

「大麻?やばいんじゃないの?」

『いや大麻こそハードドラッグなんじゃないの?』

そんな声もちらほら聞こえてきそうな気がしないような。

睡眠障害に効果があるということが医学的にも明らかにわかってきており、治っていく過程も含めて睡眠障害で悩む患者さんの有効な選択肢の1つになる可能性があります。

 

 

~なぜ大麻治療なのか~

医療大麻は、痛みの緩和、不安の緩和、一部の難治性てんかんに対して効果的であることがすでにわかっています。

特に、大麻成分であるカンナビノイドの1種、カンナビジオール(CBD)とテトラヒドロカンナビノール(THC)が、免疫系や健康維持やさまざまな病気に効果があることが近年、爆発的なスピードでわかってきています。

当然、睡眠の分野でも研究が進んでおり、睡眠のサイクルやリズムにポジティブな影響を与えている可能性があることがわかってきています。

大前提として、実際に、医療大麻を使用している患者さんの約50%が睡眠障害に対してであり、

「なんで大麻つかっているんですか?」

「よく眠れるからですよ」

が1番多い回答になります。

個人的な意見ですが、すっと眠れて、しゃきっと目が覚める、思わず「あ~、よく眠れたわー」とつい言いたくなります。

他の目的でも「結果、よく眠れている」と実感している患者さんも含めると、医療大麻の1番期待される効果は「睡眠の質があがること」なのかもしれません。

実際に大麻治療が睡眠障害に対してどういう効果を与えているか、論文を紹介しながら挙げていきましょう。

 

 

2021年に医学雑誌「SLEEP」に発表された、オーストリラリアで行われた研究で、医療大麻が不眠症に対して効果があるのか、安全性は問題ないのかを調査した論文になります。

24人の不眠症を訴える患者さんに医療大麻を2週間投与したら、重篤な副作用もなく、明らかに症状が改善したと発表しています。

Insomnia Severity Index score(不眠症重症度指数)、加速度計を用いて評価を行ない

、入眠までの時間が短くなり、睡眠時間ものび、睡眠の質も向上したとのこと。

 

 

 

こちらは2022年に発表された、オーストラリアで行われた研究で、上記の論文と同様に医療大麻が不眠症に効果があるのか、安全性は問題ないのかを調査した論文になります。

29人の不眠症を訴える患者さんに医療大麻を2週間投与したら、重篤な副作用もなく、明らかに症状が改善したと発表されています。

Insomnia Severity Index score(不眠症重症度指数)、深夜メラトニン濃度を用いて評価し、睡眠の質、睡眠時間の延長、深夜のメラトニン濃度の上昇、QOLを改善したとのこと。

メカニズムはともかく、実際に睡眠障害に効果があることが実証されています。

 

医療大麻が睡眠にどのような形で影響を与えているかも徐々にですが、わかってきています。

睡眠誘導効果)

精神活性作用をもつTHCですが、睡眠を誘導する効果や鎮静作用ががあるといわれています。

THCは神経系に作用し、眠気を引き起こすため、就寝時に眠りに入りやすくなる可能性があります。

すとんっと寝落ちするような感覚でしょうか。

ただ大量に摂取すれば、警戒や不安といった症状が強くでる可能性があります。

 

(睡眠の深さと質の向上)

大麻が睡眠の深さや質の向上をもたらすという研究報告もあります。

睡眠中に大麻を使用した被験者の中には、レム睡眠やノンレム睡眠の増加が観察されたという報告がありますが、睡眠段階にどのような影響を与えるかはっきりとしたことはまだわかっていません。

 

(疼痛や不安の軽減)

睡眠障害の原因の一つに、慢性的な疼痛や不安があります。

CBDは、痛みや不安、炎症をを軽減する効果があるとされています。痛みや不安が軽減されることで、身体と心のリラックスが促進され、より良い睡眠状態を作り出すことができるでしょう。ただ少量だと、逆に覚醒させるとも報告されています。

 

現状では、不眠症に対して大麻の短期的な使用での効果は実証されていますが、長期での使用による効果や影響はまだはっきりとわかっていません。

医療大麻の代表的な副作用として、口渇感、心拍数増加、血圧上昇、めまいなどが挙げられ、めまいやふらつきなどの症状は特に高齢者の使用に関しては注意が必要です。

長期での使用にあたっては、不安やうつ症状などの精神面への影響も懸念されています。

特に精神疾患を有する患者さんの医療大麻の使用には、精神活性作用をもつTHCが精神症状を増悪させる可能性もあるため、注意が必要です。

 

 

~まとめ~

日本では法律上の問題から大麻を医療目的で使用することはできませんが、タイでは医療大麻が合法となり、治療のために使用することができます。

医療大麻は睡眠障害以外にも、200以上もの症状や病気に効果があると言われており、現在抱えている様々な悩みが解決するかもしれません。

特に睡眠障害、不眠症は、生活リズム、ストレスのかかった環境など様々な要因が重なっており、根本的に治すには一筋縄ではいきません。

最も効果的のある治療方法は、自分の生活を客観的にみること、ストレスのかかった環境から離れること、無理のない生活習慣であり、薬物療法や大麻治療はサポートにすぎません。

燦々と輝く太陽のもと、開放的でリラックスした環境で大麻治療を受けてみませんか?

海外での治療、慣れない環境に不安はあると思います。

タイには医療大麻を研究し、大麻治療の臨床に精通した日本人医師が在住しており、タイ滞在中はもちろん、帰国後もサポートいたします。

対面でのカウンセリングや健康相談もできますので安心して治療を受けていただければと思います。

睡眠障害に悩む患者さんにとって、医療大麻が「暗闇の中で橙色に輝く希望の光となり笑顔を灯す」、そんな存在になれればと切に願っています。

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